蜘蛛の糸

前回、蟻地獄の話をしたので、関連して。

芥川龍之介の短編小説「蜘蛛の糸」ご存じですか?

結構有名な話ですから、一度は読んだり聞いたりしたこともあると思いますが。

私が鬱から快復した時に解ったことがあります。

このカンダタがどうして地獄から出ることができなかったのか。

どうして蜘蛛の糸が切れてしまったのか。

どうしたらカンダタはこの地獄から抜けだすことができたのか。

カンダタにとってこの蜘蛛の糸は地獄から抜けだすための希望でした。

鬱に陥っているのは正に地獄にいるようなものです。

蜘蛛の糸はここから抜け出すための希望、光、光明。

ただその光に向かってひたすらに登っていけばいいだけの話だったのです。

カンダタは蜘蛛の糸をつたって登り始めましたが、ふと下を振り返ったら、やはり地獄から抜け出したい罪人がたくさん、カンダタの後に続いて登ってきました。

この細い蜘蛛の糸が切れることを恐れたカンダタは、後に続いて登ってくる罪人たちを

「この蜘蛛の糸はおれのものだから降りろ」と喚くのです。

その途端、蜘蛛の糸はカンダタのすぐそばで切れて、他の罪人ともと一緒に再び地獄へと堕ちてしまうのです。

ではカンダタはどうすればよかったのか。

ただひたすら、上に向かって登ればよかったのです。他に追随してくる罪人など気にせずに。

鬱に苦しんでいるあなたは罪人だと言いたいわけではないのですが、あなた自身をあなたのゆがんだ思考でもって自らを地獄におとしてしまっている、そういう意味では罪人かもしれません。

登ってくる罪人とは、あなたをおとしめている思考や考え方、思い込みなどです。

無視して登り続けましょう。

鬱という地獄から自分自身を救いましょう。蜘蛛の糸を辿って。

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